長時間透析について | 前田医院
九州初のセントラル方式電解水透析導入 | 前田医院

当院では2025年6月より「電解水透析」を導入しました。CDDS(中央透析液供給システム)を用いてすべての透析患者さんに血液透析・オンライHDFを行うシステムは、九州初の導入です。たいへん高価な装置であるために全国的にも導入が滞っていますが、電解水透析により透析患者さんの合併症の軽減効果や生命予後の改善(元気で長生きできる透析)が期待されています。

電解水透析Electrolyzed water hemodialysisとは? | 前田医院

「電解水透析」とは、透析液の希釈水である「水」そのものの機能に世界で初めて着目した日本初の新しい治療法です。一般社団法人 電解水透析研究会の研究では、電解水透析患者群と通常透析患者群における生存率および心脳血管病を発症しない患者割合の推移は通常透析群と比較して電解水透析群で41%も優れていました。

透析治療と酸化ストレス| 前田医院

血液透析治療では、血液とダイアライザ、ヘモダイアフィルタ(透析膜)、透析回路などの人工物との接触にともない「活性酸素」が発生するため、透析患者さんは透析治療のたびに慢性的に高い酸化ストレスにさらされているといわれています。わかりやすく説明すれば、「透析患者さんは、必要な透析治療のたびに感冒のような症状を患う」というような状態です。
世界トップクラスとされる日本の透析治療ですが、それでも透析患者の平均余命は一般人の約半分と言われており、その死亡原因は、2023年末で心不全、脳血管障害、心筋梗塞を併せた心血管死が29.4%(※1)を占めます。心血管死は、治療中に発生する酸化ストレスや炎症が関与し、動脈硬化を促進していることが原因と考えられています。
この酸化ストレスや炎症を抗酸化力がある水素(H2)の作用により抑制できることがわかっています。


※1 日本透析医学会2023末統計調査「わが国の慢性透析療法の現況」より
※表 「Novel hemodialysis (HD) treatment employing molecular hydrogen (H2) -enriched dialysis solution improves prognosis of chronic dialysis patients: A prospective observational study」(和訳:分子状水素(H2)溶存血液透析液を使った新しい血液透析療法は、慢性血液透析患者の予後を改善する:前向き観察研究)/Scientific Reports 8, Article number: 254 (2018)から一部改変掲載

血液透析における「水」 | 前田医院

腎不全患者の治療に用いられる血液透析は、水を大量に使用する治療法で1回あたり約120リットルの水を使用します(当院は長時間透析を行っているため約180リットル)。この“水”に着目し、抗酸化性を持つ「水素(H2)」が含まれた電解水素水を透析液の希釈水に使用したものが「電解水透析®」です。

電解水透析システムについて| 前田医院

※「電解水透析用逆浸透精製水製造システム EW-HDシステム」より https://www.nihontrim.co.jp/product/ew/ew_hd/


電解水透析システムは、抗酸化性を持つ水素(H2)を含んだ透析液で治療するシステムです。水を電気分解することにより得られる水素分子(H2)を多く含んだ電解水素水を逆浸透処理し、透析用希釈水として血液透析に使用します。

電解水透析の目的 | 前田医院

透析患者の主な合併症(脳心血管病や感染症)は酸化ストレス障害や慢性の炎症といった病態が関与していると考えられているため、「電解水素水」を血液透析治療に使用することで、これらの合併症を抑制することを目的にしています。 またこれまでの発表では、電解水透析実施により透析後の疲労感の軽減(※)や血圧の安定など患者さんのQOL(生活の質)が向上したという報告もされています。


※表 「Amelioration of fatigue in chronic dialysis patients with dialysis solution employing electrolyzed water containing molecular hydrogen (H2) and its association with autonomic function balance」(和訳:分子状水素含む電解水素水を活用した血液透析(電解水透析)による透析関連疲労感の抑制と自律神経機能との関連性)/ Renal Replacement Therapy volume 7, Article number: 58 (2021) から一部改変

「電解水透析には夢がある!」 | 前田医院

透析患者さんは高サイトカイン血症を黒幕とする異栄養状態:malnutrition、炎症:inflammation、動脈硬化:atherosclerosisという負のスパイラルの中に存在しています(MIA症候群)。そして近年、MIA症候群と活性酸素種との関連が指摘されています。
前田医院は、尿毒素や酸化促進物質の蓄積や抗酸化防御機能低下などの腎不全そのものに由来する病態に対しては、できる限りの透析液清浄化を試みながら、オンラインHDFによる生体適合性に配慮した長時間透析・頻回透析を行ってきました。
それでも従来の血液浄化療法は非生理的なものに過ぎず、そこには生体が異物に暴露されてしまうという側面が存在します。残念ながら患者にとって必要不可欠な治療そのものが、酸化ストレスを負荷する要因の一つに他ならないのです。
当院が導入する電解水透析は、腎不全治療が長いあいだ抱えてきたこのジレンマを最小限にしようとするものです。さらにこの治療が患者さんの抗酸化力を向上させる可能性のある新しい概念のものであることを、われわれは確信し期待しています。

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